財務健全性とは?判断するための6つの指標や分析のポイントをご紹介

財務の基礎知識

財務健全性とはどのようなことを意味するのでしょうか?今回は、財務健全性を計る上で用いる6つの指標や、分析する際のポイントなどについてご紹介していきます。

財務健全性とは

財務健全性とは、会社の財務状態が健全であるかどうかを示す指標のことです。

財務健全性の高い会社は、借りたお金ではなく自分のお金で事業を多くおこなえていることを示し、倒産しにくい健全な企業であることを意味します。

したがって、新規取引先を選ぶ際や株式投資を行う際などには、財務健全性をチェックすることが重要であるといえます。

財務の健全性を計るための指標

ここでは、財務健全性を計る際に用いる指標のうち代表的なものを6つご紹介していきます。

1,流動比率

流動比率(%)=流動資産/流動負債×100

流動資産とは1年以内に現金化の見込みがある資産のこと、流動負債とは1年以内に支払期限がくる負債のことです。

流動比率により、短期的な支払い能力を把握することができます。

流動比率が100%を超えたときに、資産が負債よりも多い状況であり、100%を下回ると、支払いが困難な状況であることが懸念されます。

流動比率は200%以上が目標値の目安となります。

2,当座比率

当座比率(%)=当座資産/流動負債×100

当座資産は流動資産の一部にあたるものであり、流動資産のうち特に現金化しやすい現預金や売り掛け金、未収入金などのことです。流動資産のうち、棚卸資産を含まないというのが違いになります。

棚卸資産は、商品や製品以外にも材料や仕掛品なども含みます。

商品や製品は売れるまでに時間を要することがあったり、材料の段階では在庫の劣化で製品化することができなかったりする可能性もあります。

そのため、すぐに現金化できるとはいえないことから当座資産には含まれないものとなっています。

3,固定長期適合率

固定長期適合率(%)=固定資産/(固定負債+自己資本)×100

固定資産とは、土地や建物、機械装置といった長期的に使用する資産のことです。

固定負債は、1年を超えて支払期日が到達する負債のことです。

そして、固定資産がどの程度安定した資金で賄えているかを示すのが固定長期適合率です。

固定資産への投資は、自己資本もしくは返済期限の長い固定負債で調達することが望ましいとされていることから、固定長期適合率を100%未満にすることが目標となります。

4,株主資本比率

株主資本比率(%)=株主資本/総資産×100

株主資本比率は、株主が保有する資産であり第三者に返済する必要がない資産である株主資本に基づく値であることから、経営の安定性を計るのに用いられます。

株主資本比率が高ければ、それだけ会社が保有する資産の多くを株主による出資で賄っているということになるため、財務状況が安定していることを示します。

5,自己資本比率

自己資本比率(%)=(純資産-新株予約権)/総資本×100

前述の株主資本を含めた返済の必要のない資本のことを自己資本と言います。

一方で、他者からの借金で返済の必要がある資本を他人資本と言います。

そして、自己資本と他人資本の合計が総資本です。

自己資本比率は、総資本のうち自己資本が占める割合を示したもので、高いほど経営は安定しているものとみなされます。

※新株予約権とは:新たに株式を購入できる権利のこと。現時点では株主の資産としてカウントされるものではないため、純資産から控除する

6,修正自己資本比率

修正自己資本比率(%)=(純資産+役員借入金)/総資本×100

株主と役員が一致している場合に、役員借入金を自己資本とみなして算出しなおしたなおした比率のことです。

役員借入金は一般的に返済が不要な場合が多いことから、より実態に即した指標だと言えるでしょう。

自己資本と他人資本

続いては、先にも少しお話した「自己資本」と「他人資本」について双方を比較することでその違いについて理解を深めていきましょう。

1,返済の必要性

自己資本と他人資本の一番わかりやすい違いと言えば、返済義務の有無が挙げられます。

返済義務がない資本を自己資本、返済義務がある資本を他人資本と呼びます。

自己資本には、株主が出資した資本金や企業によって生み出した利益を積み立てた利益剰余金が該当します。

他人資本には、銀行などからの借入金や買掛金、未払金などが該当します。

他人資本は資本という呼び方ではありますが、あくまでも負債であることから、その割合が大きい場合には、経営状況に問題があったり厳しい状況である可能性があります。

2,資本の提供元

自己資本の場合には株主、他人資本の場合には債権者が資金提供者となります。

貸借対照表では、純資産にあたる部分が自己資本、負債にあたる部分が他人資本となっています。

3,資本提供による見返り

自己資本の場合には、配当のほか、株価の値上がりによる利益を資本提供の見返りとして期待しています。

一方、他人資本の場合には提供した資金の元本の返済のほか、返済利息を見返りとして期待しています。

自己資本、他人資本、どちらも会社の経営に役立てるお金に違いはありませんが、資金元やその取り扱い方には大きな違いがあります。

財務健全性の確認方法

つづいては、財務健全性を確認する方法についてご紹介していきます。ポイントは、各指標を個別ではなく、複数を総合的に判断する材料として利用するということです。

1,長期と短期で使い分け

財務健全性を計るための指標でご紹介したとおり、指標では長期と短期での分析があります。どちらを分析するかによって使用する指標が変わってきますので、注意しましょう。

2,指標ごとに目標数値を把握する

たとえば、株式資本比率であれば高すぎると試算が効率的に活用できていないということを意味する場合があります。このように、指標の数値は全てが高ければよいというわけではありません。また、業種によって平均値も大きく変わってきます。

自社が目指すべき目標数値を各指標ごとに把握しておけば、現状把握と今後改善の余地があるか否かを判断することができます。

3,指標は一つではなく全体でとらえる

財務健全性を図るための指標は6つご紹介しましたが、これらの指標は一つずつを個別に判断するものではなく、各指標を並べて比較し、総合的な判断をするものです。

指標を組み合わせて多面的に各数値を見ることで、経営状況が見えてきます。

4,過去の実績や同業他社との比較

将来に向けた経営の改善策や財務状況の安定を目指すのであれば、過去の実績との比較が重要となります。また、同じ業種の他社との比較を行うことで、自社に足りない点や自社ならではの強みが見えてきます。

財務健全性を維持するには

財務健全性を維持するには、まずは財務状況の現状を正しく把握することが必須です。

そのために、先にご紹介した財務現前性を計る指標それぞれの意味および、算出した数値がどのような状況を示しているのかを理解する必要があります。

自社が目標とする数値や財務状況と照らし合わせ、どのように財務健全性を維持していくべきかを検討していくことが重要になります。

まとめ

以上、財務健全性とは何か、判断するための指標やどのように自社の経営や財務状況の維持、改善に役立てていくべきなのかについてご紹介してきました。

将来にわたる自社の発展を目指すうえで、財務健全性を保つことは大変重要なポイントとなります。

それぞれの指標が示す意味、そして数値がどのような状況を示すのかを理解して、それらの情報を総合的に判断することが分析を進める上で求められています。

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